子どもの可能性を伸ばす接し方 第2回

子育ての悩みや教育費などお金の悩みを解決する、「子育て診断士 & 1級FP」の瀬下澄江です。

今日は、できる子のお母さんは”問いかけ”上手についてお話します。

子どもにとって、お母さんとは『元気の源』と言っても過言ではない存在です。
幼い頃は、お母さんが喜んでくれることが嬉しくて、お母さんに褒められることが嬉しくて、そのために一生懸命にがんばろうとします。お母さんには、そんな子どもからの信頼を忘れないで欲しいと思います。勉強でも習い事でも、お母さんがその信頼に応えれば応えるほどに、お子さんはもっとできるようになろうとするものです。そして、できる子のお母さんほど、うまく子どもを導いているのです。

●子どもの「前向きな心」を引き出す

例えば、子どもの話を聞くときにも、単に話を聞くだけでなく、ときどき問いかけながら、子どもの意識を集中させてみてください。何かができるようになったときに褒めることはもちろん大事なことですが、できないときには一緒に考えてあげようとすることは、褒めること以上に大切なことです。
ところが、問いかけではなく、“問い詰め”になってしまうことがあります。
「何度言ったら分かるの!」
「どうしてできないの!」
これは典型的な“問い詰め”の言葉です。子どもに答えを求めているのではなくて、ただ追い詰めているだけなのです。
ここは問いかけ上手なお母さんになって、
「どうしたらできるようになるだろうね?」
という言葉をかけてあげてください。決して投げやりな言い方ではなく、むしろ、子どもと一緒に悩み、考える姿勢を見せることが大切です。寄り添う姿勢を見せながら、子ども自身に考えさせ、子どもなりの考えや言葉を引き出そうと努力するのです。お母さんの問いかけに、「ちょっとやってみようかな」という気持ちになることでしょう。

●コミュニケーションは聞くことから

コミュニケーションを上手にとりたいときには、「まず、相手の話を聞け」と言われます。話を聞くことには、次のようなメリットがあると言われています。

1 相手の考え、意図などの基本情報が入る
2 相手の気持ちが判り、意思疎通しやすい
3 相手の自己満足度を上げることができる
4 判らなかったことが判り、知識量が増す
5 相手の価値観や人間性が判るようになる

つまり、話を聞かないと「相手のことがよく分からない」のです。

少し立場を変えて考えてみましょう。
デパートに服を買いに行ったときに、「お客様にはこれがお似合いですよ」とただ一方的に勧めてくる店員さんがいたとします。
あなたは、そんな店員さんに好感を持つでしょうか?
それよりも、「どのような服をお探しですか?」「どんな場面で着るものですか?」と熱心に要望を聞いてくれる店員さんのほうが、好感を持ちますよね?

実は、大人であるあなたも、“問いかけ”をされるかどうかで、気持ちが180度変わっているのです。人間関係は「まず質問するところからはじまる」と言われますが、これは相手が大人であれ、子どもであれ、全く同じことです。話を聞いてくれる姿勢を見せてくれれば、自分に対して関心があることが分かりますし、好意的に受け止めるものです。
その一方では、話を聞こうともせず、言いたいことだけを一方的に聞かされたとしたら、もううんざりした気持ちになってしまいます。子どもからしてみれば、お母さんの一方的な話を聞かされても決して前向きな気持ちにはなりません。さらに感情的な言い方をされたとしたら…尚のこと、子どもには響かない言葉となってしまいます。

●叱りつけるより、問いかけてみよう

例えば、子どもが約束の時間になっても帰ってこなかったときに、あなたはどんな言葉をかけていますか?
「約束したのに、どうして守れないの!」
こんな風に、つい怒鳴ってしまってはいないでしょうか?
怒鳴りつけられれば、子どもはお母さんに叱られないようにしばらくの間は時間を守るようになるかも知れません。しかしながら、行動は変わったとしても、根本的な意識には何の変化もありませんから、決して長続きはしないでしょう。意識を根本から変えようとするなら、頭から叱りつけるような言い方ではなく、子どもに寄り添った問いかけの言葉のほうが効果的です。
「今度はどうやったら約束を守れるのか、一緒に考えてみようか」
お母さんが一呼吸置いて冷静になり、穏やかな気持ちと同じ目線で子どもに問いかけてあげれば、ただ怒鳴られるときのような防衛反応は生まれません。そして、落ち着いた精神状態で、子どもなりに考えようとします。これが、問いかけから生まれる『前向きな心』なのです。